この本を読もう ──アドラー思想を学ぶことができる本

1:『嫌われる勇気』岸見一郎、古賀史健、共著

 アドラー思想を学び、幸福の中に生きたいと思う人は、なんと言ってもまずはこの本を読むことから始めるとよいでしょう。
 アドラー思想が平易な言葉で、しかも深く語られています。

 この本で最も印象に残っているのは、
「一般的な人生に意味はない」
 というアドラーの言葉です。(『嫌われる勇気』p.277。原文では「一般的な人生の意味はない」となっています。)

 この部分を読んだとき、
「え? 人生に意味はないだって? そんなバカな!」と衝撃を受けましたが、次の瞬間「確かにそうかもしれない」と思いました。同時に、ふっと体の力が抜けました。

 僕はアドラー思想に出会うまで、常に焦っていました。
 とにかく持ち時間の限られた人生で「成果」を出さなければ、と。
 ですから、常に時間を無駄にしないように意識していました。友達とのコミュニケーションなども「時間がもったいないから」と避ける傾向がありました。
 そんな生き方が息苦しく、楽しくないのはわかっていましたが、人生は戦いであり、苦しいのは当たり前だと思っていました。

 アドラーの「一般的な人生に意味はない」という言葉を読んで、僕は「肩の荷が降りた」気がしたのです。
「そうか。そうだよな。一般的な人生に意味はない。理不尽な出来事もあるし、ムダな時間もある。よかれと思ってしたことで悪く言われることだってある。それが人生だ」と。
 自分が、変に肩肘張って、過度に緊張しながら生きてきたことに気づかされたのです。

「一般的な人生に意味はない」と言ったあと、アドラーはこう続けます。
「人生の意味は、あなたが自分自身に与えるものだ」と。

 僕は、アドラーが、
「まあまあ、そんなに必死になりなさんな。もっとリラックスして人生を楽しめばいい。ムダに感じる時間や、バカバカしい出来事も、それを楽しもうとすれば楽しむことができる。今まで大変だったね。さあ、今日からは人生のすべてを楽しみなさい」
 と語りかけてくれているように感じました。

 以来、焦りがちだった僕の心に余裕が生まれ、イライラしがちだった僕が、何事に対しても、ゆったり構えることができるようになったのです。
 つまり、幸福な毎日を過ごすことができるようになったのです。